小さな会社も健康診断の義務はある? 中小企業担当者の負担を減らすツールも紹介

従業員の少ない中小企業では健康診断が負担となり、実施しないケースもあります。しかし、健康診断の不実施は法律違反となるため、注意が必要です。この記事では、企業に課される健康診断の義務について解説した上で、中小企業における健康診断のメリットとデメリットを紹介します。

健康診断

 

小さな会社でも健康診断の義務はある?

企業は労働安全衛生法に基づき、従業員に対して健康診断を実施する義務を果たさなければなりません(同法66条)。果たしていない場合は50万円以下の罰金が科される可能性があります(同法120条)。

参照元:労働安全衛生法 | e-Gov法令検索

小さな会社でも健康診断は実施が必要

健康診断の実施義務は、企業規模の大きさとは無関係です。1人でも従業員を雇っていれば、入社時の健康診断および1年に1回の頻度による一般定期健康診断を実施しなければならず、その結果を本人に通知する必要があります。加えて、従業員を午後10時から午前5時の深夜帯に働かせていたり、強烈な騒音下や寒冷下など厳しい環境で働かせていたりする場合には、その従業員を特定業務従事者として扱わなければなりません。特定業務従事者は、半年以内に1回の頻度による健康診断の実施が必要です。

健康診断結果は、記録して会社に保管しておく必要があります。また、従業員を50人以上抱える企業は、労働基準監督署に健康診断の結果(定期健康診断結果報告書)を提出しなければなりません。従業員数が50人に満たない会社の場合には、この義務が免除されます。

労災事故の発生時や従業員の通報などによって健康診断の不実施が判明すると、労働基準監督署による調査(臨検監督)や是正勧告といった措置が取られ、場合によっては50万円以下の罰金が科される可能性があります。

条件によってはアルバイトやパートも健康診断の対象

健康診断の対象は、正規雇用の従業員だけではありません。アルバイトやパートなどの非正規雇用であっても、次の2つの条件を両方満たす場合は健康診断の実施義務が課せられるため、注意する必要があります。第一の条件は1年以上働いているか、働く予定があることです。第二の条件は、1週間の所定労働時間を基準として、同種の業務に従事する正社員の3/4以上の時間働いていることです。ただし、条件に当てはまらない非正規雇用の従業員に対しても、できる限り受けさせることが望ましいことは言うまでもありません。

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中小企業が健康診断に取り組むメリット

企業にとって健康診断は、単に義務として課されているだけでなく、さまざまなメリットが得られる取り組みです。ここからは、中小企業が健康診断の実施によってもたらされるであろう主要なメリットをピックアップし、解説します。

従業員の安全と健康を守れる

健康診断は、従業員が健康な状態を保ち、安全に働くために欠かせない取り組みです。健康診断を行うことで健康上の問題を早期に見つけられるようになり、隠れた病気の発症や持病の悪化を防げる可能性が高まります。病気を早期発見して適切な治療へとつなげられれば、療養による休職期間を短縮したり、病気による退職を減らしたりすることが可能です。

また、心身に不調を感じている従業員を無理に働かせた場合、機械の操作を誤って死亡事故を起こすなど、取り返しのつかない労働災害へと発展する恐れがあります。そのため、健康診断によって従業員の不調を察知することで、労働災害の未然防止にもつながります。

生産性向上につながる

従業員の健康と安全を確保することで、生産性の向上も期待できます。個々の従業員が心身の健康を保つことで十分なパフォーマンスが得られやすくなります。また、従業員同士が活発にコミュニケーションを取ることで、創造的なアイデアも生まれやすくなるかもしれません。それによって、組織全体の生産性向上につながります。

従業員数の少ない企業では業務における従業員一人あたりの占めるウェイトが大きくなるため、従業員のパフォーマンスを最大化する施策は欠かせません。その中でも、従業員の健康と安全の確保は特に重要な取り組みです。

リスクマネジメントになる

従業員の健康を管理することで、経営リスクを減らすことが可能です。体調不良の従業員が増えると、病気による欠勤・休職・退職が増えてしまいます。それによって人手不足に陥ってしまい、経営に甚大な打撃を与えかねません。また、義務化されている健康診断を実施しないことで自社への忠誠心が失われてしまうことで離職率も上昇します。

多くの中小企業(小さな会社)では各業務を最少人数で回さなければならないため、欠勤者が一人出るだけでも業務が滞ってしまいます。その結果、生産性が大きく低下し、業績に影響を及ぼします。人手不足によって各従業員に重い負担がかかり、過労によって従業員が死亡するような事態になれば、遺族から多額の損害賠償を請求されるという事態も起こりかねません。

健康診断を確実に実施し、従業員が気持ちよく働ける良好な労働環境を整備することで、以上のようなリスクを低減できます。

 

中小企業が健康診断に取り組むデメリット

中小企業(小さな会社)が健康診断を実施する場合、費用や通常業務へのしわ寄せといった負の側面を無視することは難しいです。それらのデメリットをあらかじめ考慮し、対策を準備しましょう。

費用がかかる

健康診断にかかる費用は企業が負担しなければなりません。費用負担が発生するのは、入社時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者に対する健康診断の3種類です。資金に余裕がない会社にとっては、決して小さな負担ではありません。しかし健康診断を実施しなければ法律違反となるため、あらかじめ予算に組み込んでおく必要があります。

担当者の業務負担が増える

健康診断に対応する担当者を確保しなければなりません。担当に指名された従業員は負担が増えてしまいます。担当者は健康診断の対象となる従業員の調整だけでなく、検診を担当する産業医やクリニック、会社が所属する健康保険組合、所轄の労働基準監督署などとも調整に当たらなければなりません。条件によって健康保険組合からの補助が受けられるほか、法定外の健康診断には厚生労働省の助成金をうけられますが、それらにも申請の手間がかかります。これらの負担を減らすには、毎回同じクリニックや健診センターを利用したり、担当者に負担を集中させるのではなく社内の協力体制を構築したりするといった方法があります。また、検診に関連する情報を一元管理できる健康管理用ツールの導入も有効です。

 

担当者の負担を軽減するクラウド型健康管理システム「Growbase

健康診断関連のわずらわしい業務は、健康管理用ツールを導入してデジタル化し、検診関連のデータを一元管理することで担当者の負担を軽減できます。数あるツールの中でも特におすすめなのがクラウド型健康管理システム「Growbase」です。

「Growbase」
には健康診断結果をはじめとした紙の書類を取り込んでデジタル化しクラウド上に移行する機能が搭載されており、従来は手作業で行っていた業務を大幅に軽減できます。誰でも直感的に使えるようにUIが設計されています。産業医が常駐していない小規模の企業で使用するケースでは、余計な機能を省いて費用を抑えられる「Growbaseネクスト」がおすすめです。詳しくは以下のページを参照してください。

アンカーテキスト:クラウド型健康管理システムなら【Growbase
URL
https://hss.wellcoms.jp/ 

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関連記事:産業保健支援ソリューション https://www.wellness-sora.jp/solution/health-support 

 

まとめ

健康診断は企業に実施義務が課せられており、企業規模には関係なく実施しなかった場合には法律違反となります。健康診断を実施するメリットは、従業員の安全と健康を守って生産性を向上させる効果が得られる点や、リスクマネジメントになることなどが挙げられます。健康診断に関連する業務は、担当者にとって大きな負担となりますが、クラウド型健康管理システムGrowbaseをはじめとした健康管理用ツールを導入することで軽減が可能です。

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