病院が健康経営に取り組むメリットとは? 認定法人の事例もあわせて解説
- 2024.11.22
- 予知・予防
- ウェルネスの空 編集部
日本の病院経営では、医療従事者の不足や離職率の高さなどの課題が多くあります。このような問題を解決すべく、近年、健康経営®に取り組む病院が増えています。この記事では病院が健康経営することで得られるメリットと健康経営にあたっての課題を解説するとともに、健康経営に取り組む医療法人の事例を紹介します。
※ 健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
病院が健康経営に取り組むメリット
病院は人々が生活する上で必要不可欠な存在です。特に日本の病院の約8割を占めているとされる中小規模病院は地域医療を支える上でなくてはならないところです。
しかし、現在の医療業界は、過酷な労働環境による医療従事者の不足や物価高などによる経費の増大など、さまざまな課題を抱え、慢性的な赤字や経営難に悩まされている病院は少なくありません。
このような状況を打破し、黒字経営を維持する戦略として近年、注目を集めているのが健康経営です。健康経営とは、従業員の健康を経営的視点から考え、戦略的に管理することです。
そして健康経営を実施することで得られるメリットは、病院経営における課題解決につながります。
離職率を下げられる
まず、健康経営に積極的に取り組むことで、医療従事者や事務スタッフといった従業員の離職率を下げることができます。
その理由は、健康経営は従業員の心身の健康を向上させ、働きやすい環境を提供することができるためです。
例えば、健康的な職場環境や福利厚生を整えることで、従業員のストレスや疲労が軽減され、仕事に対する意欲や満足度が高まります。
特に医療従事者や事務スタッフはストレスの多い仕事に従事していますので、健康経営によってその負担を軽減してあげることで、長期的に働き続ける意欲を高め、離職を抑える効果が期待できます。
社会保険料を削減できる
健康経営に取り組むと、従業員の病欠や通院を減らせるため、経営側が負担しなければならない社会保険料の削減につながります。また、社会保険料を削減できれば、新たな機器の購入やIT業務システムの導入などに資金を回せるため、患者満足度や生産性の向上に寄与します。
生産性の向上につながる
健康経営で従業員の健康状態が良好になれば、仕事に対して前向きに取り組めるようになり、業務の効率化につながります。さらにストレスの少ない労働環境が整うことで、従業員のモチベーションやチームの結束力アップが見込め、生産性の向上が期待できます。
患者の満足度向上につながる
健康経営によって患者の満足度向上も期待できます。医師やスタッフの態度が悪い、待ち時間や診療時間が長くて業務効率が悪い、といった病院は患者さんにストレスを与え、新規患者の獲得が難しく、リピートしてもらえない可能性が高いです。
しかし、健康経営によって従業員が生き生きと働く病院は、患者に安心感を与え、医療サービスの質も高いため、患者の満足度向上が期待できます。患者の満足度が向上すれば、病院の評価が上がり、新規患者の獲得や患者のリピート率も高まり、安定した収益確保につながります。
健康経営における課題
健康経営は病院に多くのメリットをもたらしますが、以下のような課題もあります。健康経営を実施するためには、これらの課題をうまく解決することが重要です。
スタッフが非協力的な場合がある
スタッフの中には自分の心身の健康状態を人に知られたくないと考える方がいます。健康経営はスタッフの協力がなければ実現できず、無理やり推し進めると失敗する可能性があります。そのため、従業員に対して健康経営のメリットや意義について丁寧に説明することが必要です。また、個人情報の管理方法や情報の用途についても明示し、個人情報流出のリスクが低いことを伝えましょう。
担当者が多忙でなかなか進まない場合がある
健康経営を進めるためには、健康経営のための体制を構築する必要があります。例えば、一般的に健康経営は人事部や総務部が担うことが多いです。しかし、通常業務に加え、新たに健康経営の業務が増えるとなると、担当者の業務負担が増し、健康経営がなかなか進まない場合があります。特に病院によっては人手不足などで、常に忙しい状態も珍しくありません。
また、なんとか健康経営を導入できたとしてもそこで終わりではありません。導入後も健康経営を継続するための業務は続きます。しかも健康経営は短期的に結果が出るものではないため、担当者の業務過多が続くことで、結果的に健康経営が失敗に終わる可能性があります。
このようなケースを防ぐためには、担当者の適切な業務分担やIT業務システムの導入など、健康経営をするための労働環境の整備が必要です。
そもそも健康に影響を及ぼしやすい勤務形態の場合がある
健康経営を目指すにしても、そもそも病院によっては夜勤や土日勤務があり、健康に配慮しにくいところがあります。また、患者の命を預かるがゆえに精神的なストレスは非常に大きく、身体を使う業務も多いため、看護師は一般労働者と比較して不調の割合が高いとの調査結果もあります。このような職場環境の中で、どのように健康経営を推進していくのかが課題です。
しかし、難しいからといって何も行動を起こさないことは、スタッフにとっても経営にとってもマイナスです。自院における課題を抽出し、課題解決に向けて達成可能な目標を設定し、経営陣が積極的に取り組むことが重要です。さらに、ほかの医療機関の健康経営を参考にするのもおすすめです。次章では健康経営に取り組む医療法人の成功事例を紹介します。
健康経営に取り組む医療法人の事例
ここからは実際に健康経営に取り組んでいる医療法人の事例を3つ紹介します。
社会医療法人財団董仙会
社会医療法人財団董仙会は優良な健康経営を実践しているとして、7年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されています(内、6回はホワイト500)。同院では、基本理念の「健全な経営」と「職員の健康と幸せ」を守りつつ、「先端医療から福祉まで『生きる』を応援します」というミッションを掲げ、「健康経営対策室」を設置。そして健康経営対策室主導のもと、定年制の廃止やリモートワークの実施など、さまざまな働き方改革に取り組んでいます。
参照元:社会医療法人財団董仙会
社会医療法人正和会
社会医療法人正和会は、2021年から4年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されている社会医療法人です。同院では、地域全体が健康に過ごせることを目的に、地域住民を対象にした健康講座を開催。さらに全職員を対象とした健康診断の実施や長時間労働の抑制、有給休暇取得促進、受動喫煙防止対策の徹底などの取り組みを実施しています。
参照元:経済産業省|健康経営優良法人 2021
参照元:全国健康保険協会2024
参照元:社会医療法人正和会
医療法人藤風会
医療法人藤風会は、3年連続で「健康経営優良法人(中小規模法人部門・ブライト500)」に認定されています。同院では、職員の健康面だけでなく、資格取得にかかる費用を全額補助し、職員が自発的にスキルアップを目指せる環境づくりに取り組んでいます。また、子育て・復職支援を行い、ワークライフバランスの充実も図っています。
参照元:医療法人 藤風会
ベルシステム24が提供する健康経営サービス
健康経営の課題を解消する打開策として、外部の専門企業へのアウトソーシングを検討してみるのもおすすめです。社内ですべて対応するには人的リソースもかかるため、専門領域は外部の企業にアウトソーシングする事で、自社のリソースを空けて他の業務に手を回せます。
ここでは、ベルシステム24が提供する健康経営サービスを紹介します。特定保健指導をはじめ、医療有資格者がコンタクトセンター業務で培ってきたノウハウを活かして、健康経営優良法人認定要件に基づいた、健康経営の取り組みを強力にサポートされています。また、従業員向けにカスタマイズした個別の相談も受けられているようです。
何から取り組めばいいか分からない場合など、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
病院における健康経営には、さまざまなメリットがありますが、実施するには病院特有の勤務形態などの課題があります。健康経営に対して不安やアドバイスが必要な場合には、ベルシステム24の「健康経営®サービス」を利用するのがおすすめです。「健康経営®サービス」では、健康経営実践のための施策支援と健康経営推進でのプロジェクト運用支援を行います。
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