フェムテックで更年期をケア 概要や商品例について解説

女性は、更年期を迎えるとさまざまな症状が現れ、日常生活や仕事に影響を及ぼすことがあります。近年、女性に注目されている「フェムテック」の利用で、女性が抱える健康上の悩みを解決でき、業務パフォーマンスの向上が見込まれる可能性もあります。

本記事ではフェムテックについて詳しく解説しますので、担当者は概要を理解しておきましょう。

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フェムテックとは

フェムテックとは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語です。女性のライフステージにおいて遭遇する健康課題を、テクノロジーを活用して解決するための、商品やサービスなどを指します。

フェムテックの概念が生まれたのは、2012年~13年頃だと言われています。月経・妊活・妊娠・出産・更年期など、女性特有の健康課題を抱えやすいタイミングにおいて、商品やサービスなどの活用により課題を解決するものです。

消費者向けの商品では、月経カップ・吸水ショーツ・月経周期を予測するアプリなど、月経関連の製品が注目を集めています。月経以外では、更年期症状対策としてもあるのが、骨盤底筋を鍛えるアイテムや、健康相談アプリおよびサービス、女性特有のがん検査サービスなどです。

政府も、フェムテックサービスに取り組む自治体や民間企業に対し、補助金制度を実施しています。

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フェムテックが注目される理由

「フェムテック」は、2021年の流行語大賞にノミネートされるほど、注目を集めている用語です。注目を集めるようになったのには、どのような理由があるのでしょうか。

女性特有の悩みや問題が少しずつ可視化されつつある

以前は、女性特有の問題を明るみにするのはタブーとされていました。しかし近年では、悩みを受け入れ、前に進んで行こうという傾向が見られるようになっています。女性が自ら社会に声を上げるようになったのは、社会進出が進んだりSNSの活用が広まったりしたことも一因と言えます。

さらに、テクノロジーの進化により課題解決の糸口が見つけやすくなったのも、フェムテックの普及を後押ししました。女性特有の悩みをデータ化することで、適切な治療法が明確になってきたのです。

女性経営者が増加している

フェムテックが注目されている理由として、女性経営者の増加も見逃せません。女性の社会進出が目覚ましく、企業で重要なポジションを担ったり、起業したりする女性も急増しています。

株式会社東京商工リサーチが、2021年に実施した「第10回全国女性社長調査」によると、全国の女性社長が調査開始後初めて50万人を超えました。2014年の調査では30万人ほどだったので、急激に増加している実情が明らかになっています。
(参照元:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20211102_04.html
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20150424_01.html

女性経営者の増加により、男性経営者では気づけない女性目線でビジネスが展開できるようになり、課題の解決に向けた新たなビジネスチャンスを見出せるようになったのです。

女性の体調不良で経済損失が発生している

経済産業省が発表している「健康経営®における女性の健康の取り組みについて」によると、日本国内で働く全従業員のうち、女性の割合はおよそ44%を占めています。また、女性特有の月経に関わる症状で、4911億円にものぼる労働損失が発生するという試算結果が提示されています。
(参照元:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/josei-kenkou.pdf

この数字からも分かるように、現代では女性が男性と一緒に働くことが当たり前となっており、女性が体調不良などで仕事ができなくなると、労働損失につながりかねないのです。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

更年期による女性への影響

更年期を迎えた女性に体調の変化が起きやすいことは多くの人が知っていると思います。ここでは具体的に現れる症状や、更年期が女性に与える影響を見ていきます。

更年期の症状

更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた時期を指します。日本人女性の平均閉経年齢はおよそ50歳とされているため、45歳から55歳の間に更年期を迎える可能性が高いでしょう。ただし、閉経時期の個人差がかなり大きい事実も、覚えておかないといけません。

更年期に現れる症状は、次の3つに分けられます。

  • 血管に関する症状(ほてり・ホットフラッシュ・のぼせ・発汗など)
  • 血管以外に見られるさまざまな身体症状(めまい・動悸・疲れやすさなど)
  • 精神症状(落ち込み・イライラ・不眠など)

更年期の症状は多岐にわたりますが、実際に起きている症状が更年期によるものなのかは確認しなければなりません。

更年期による女性への影響の現状

更年期を迎えた女性は、これまで通りのパフォーマンスが難しくなる場合もあり、仕事に多大な影響を与えることもあります。

経済産業省が公開している調査報告書によると、2018年では更年期障害や更年期症状により仕事のパフォーマンスが半分以下になると答えた人が半数近くに上っています。さらに、更年期症状の自覚により昇進を辞退した女性がおよそ50%、退職した女性はおよそ17%という数値です。
(参照:https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/R2fy_femtech.pdf
このことに関しては、社会全体の課題だという声も上がっているようです。

更年期世代へのフェムテック4大ジャンル

更年期世代の快適な生活をサポートするための、商品やサービスが数多く開発されています。その中でも、特に注目度が高いものを4つ紹介します。

吸水サニタリーショーツ

吸水性のある布が重なっており、生理日に必須であったナプキンやタンポンが不要なサニタリーショーツです。ほとんどの女性が気になっていたモレの不安が解消されるうえ、洗って繰り返し使えるため、エコにも貢献できます。

2021年に、ユニクロがエアリズム素材を使用した吸水サニタリーショーツを販売したほか、下着メーカーからも販売されています。

化粧品、医薬部外品系

更年期を迎えた女性が毎日を快適に過ごすための、さまざまな化粧品や医薬部外品系の商品が市販されています。

前述した吸水サニタリーショーツに併せて、注目している女性が多いのは、月経カップという用品です。これは、膣内へ挿入することで生理中に排出される経血を溜めるもので、生理中の不快感軽減だけでなくゴミの減量にもつながり、タイプによっては自身の経血量把握も可能です。

また、デリケートゾーンの保湿剤や洗浄剤、機能性の高い尿漏れパッドなども販売されています。

骨盤底トレーニング系

更年期を迎えると、尿漏れや膣萎縮に悩む女性も増えてきます。これらの症状を予防・改善するために、骨盤底筋を鍛えるトレーニングが重要視されるようになりました。

骨盤底筋とは、骨盤の底にあり、骨盤周辺にある膀胱・子宮・直腸を支える筋肉です。トレーニングにより尿漏れの改善が期待できるだけでなく、筋肉がつくことで熱を発しやすくなり、冷え解消も期待できます。また、アプリなどを使ったトレーニングでなく、膣内に入れておくだけといったグッズタイプのものもあります。

Webやアプリサービス

健康問題の解決や支援を目的としたWEBサイトやアプリサービスも、多数運用されています。専門家へ直接相談できるサービスも増えており、病院を受診するハードルが高いと感じたり、仕事の関係で受診する時間が確保できなかったりという女性も、時間や場所を問わず気軽に相談できます。

まとめ

フェムテックは、現代社会で働く女性、また更年期を迎える女性に必要不可欠なサービスであり、今後もニーズに合った商品が多数生み出されると想定されています。国を挙げた政策も掲げられており、生産性や企業業績の向上に結びつくよう、長期的に取り組むことが重要です。

フェムテックのさらなる推進には、企業のウェルネス経営に関する最新の情報に対して、常にアンテナを広げておく必要があります。企業に合った方法でフェムテックを活用し、女性がさらに活躍できる企業体制を構築していきましょう。

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