フェムテックで生理の負担を軽減 フェムテックの概要や商品について解説

「フェムテック」は、女性特有の悩みをテクノロジーで解決する商品やサービスのことです。ここでは、女性を多く雇用する会社経営者に向けて「生理」の負担軽減につながるフェムテックを取り上げます。なぜフェムテックが注目されているのか、今後どのような課題があるのかなどを解説し、便利なフェムテック用品を5つ紹介します。

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フェムテックとは

「フェムテック(Femtech)」は、英語で「女性」を表す「フィメール(Female)」と、「技術」を表す「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語です。生理や妊娠、出産、不妊、女性特有の病気など、女性ならではの健康問題を、テクノロジーを活用して解決する商品やサービスのことを指します。

生理に関するフェムテックの代表的な例では、吸水型サニタリーショーツや生理痛を改善する器具、排卵日を予測できるアプリなどが挙げられます。海外では2013年頃からフェムテックに注目が集まり、北欧やアメリカはフェムテック先進国として知られています。日本では2020年頃から普及し始め、2021年にフェムテックという言葉が大きなトレンドとなりました。

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フェムテックが注目される理由

なぜ、フェムテックは近年話題になっているのでしょうか?注目を集めている理由について解説します。

女性特有の悩みや問題が可視化されて行っている

1つ目の理由に、以前と比べて女性特有の悩みや問題が可視化されるようになったことが挙げられます。これまで女性は生理痛や不妊治療など、さまざまな健康問題を抱えながらも、誰かに相談したり共有したりすることはタブー視されていました。男性経営者には理解しがたい分野ということもあり、女性の健康問題に目を向ける企業も限られていました。

しかし、時代は変わり、今では女性特有の健康問題も恥じることなく共有していこうという風潮になってきています。そこに、テクノロジーの発展が追い風となり、さまざまなフェムテックを生み出すきっかけとなったのです。悩みや問題をデータ化することで適切な治療法を提案できるなど、テクノロジーを活用することで、女性の健康問題を根本的に解決できるようにさまざまな商品開発や取り組みが続けられています。

女性経営者が年々増加している

2つ目の理由には、女性経営者が増加していることが挙げられます。女性社長数は2014年の時点では約30万人でしたが、2021年には50万人を突破しています。

女性経営者は、女性ならではの視点に基づいたビジネスを展開しやすく、男性経営者には切り込めない分野にもビジネスチャンスを見出せます。女性向けサービスを提供する女性経営者は年々増加し、働く女性も増加の一途をたどっています。ジェンダー平等に対する意識の高まりも相まって、これまでの男性社会では注目されてこなかった女性特有の問題を解決する必要が出てきたことも、フェムテックの普及に大きく関係しています。
参照元:東京商工リサーチ「第10回『全国女性社長』調査」

フェムテック用品の広がりには法整備が必要

フェムテック市場は成長しているものの、未だ課題も残っています。それは法律の壁があるために普及が進まないフェムテック用品があることです。

たとえば、吸水型サニタリーショーツは経血を吸水し、ナプキンの代用としても着用できる商品ですが、「生理用品」のカテゴリーで販売すると法律に触れてしまうため「雑品」として扱わなくてはいけません。法律で定められている生理用品の基準はあくまで紙ナプキンであるため、ショーツを生理用品として販売することは禁じられているのです。

「経血を吸収」「生理のときに使用可能」といった直接的な広告表現も医薬品医療機器法(薬機法)に触れる可能性があります。フェムテック市場をさらに成長させるには、早急に法制度を整備し、生理用品として販売できる商品の基準を変える必要があります。

生理グッズを試してみることのメリット

フェムテックによって生理グッズは進化を遂げています。「生理=紙ナプキン」の概念を変えた吸水型サニタリーショーツや月経カップなど多様化しています。

これらのさまざまな生理グッズを試してみることは、自分の身体に目を向けるきっかけになるほか、選択の幅が広がるメリットがあります。生理に対してネガティブなイメージを持つ方は多いですが、自分に合ったグッズが見つかれば、生理時を快適に過ごせるようになるでしょう。「勤務時にトイレに行きづらい」「漏れが心配」といった働く女性の悩み解消にもつながります。

生理に関するフェムテック商品

生理に関するフェムテックにはどのようなものが登場しているのでしょうか。ここでは5つの商品・サービスを紹介します。

サニタリーショーツ

従来のサニタリーショーツは、ナプキンを付けて着用するのが基本でした。新たな「吸水型サニタリーショーツ」はナプキンが必須ではないのが特長です。ショーツそのものが吸水や防水機能のある布で作られており、経血を吸収します。漏れる心配がないこと、洗って繰り返し使えて経済的なこと、抗菌機能付きでにおいが気にならないことなど、多くのメリットがあります。勤務中はもちろん、就寝時やスポーツ時などさまざまな場面で活躍すると期待されています。

ナプキン&ライナー

ナプキンやライナーは、吸収力や肌触りなど機能面を重視しがちですが、実は外装も大きなポイントです。紙ナプキンの多くは外装がフェミニンなデザインであるため、購入時に人目が気になるという人は多いです。そのため、最近ではシンプルかつスタイリッシュな主張しないデザインのものが増えてきています。また、布ナプキンは紙ナプキンよりも肌当たりがよく、通気性がよいのが特長です。身体が冷えにくく、繰り返し使えるのも魅力です。

デリケートゾーンケア

デリケートゾーンには「恥垢」という膣まわり特有の脂性汚れが溜まりやすく、しっかりと汚れを落とす必要があります。また、デリケートゾーンを適切にケアしなければ、膣内環境が乱れ、おりものやにおいの原因となってしまう可能性があります。一方、デリケートゾーンのpH値は3.8~4.5の弱酸性で敏感です。フェムテック商品には、デリケートゾーンを適切にケアするために作られたものがあります。必要なうるおいを残しながら、恥垢をしっかりと落とせるため、膣内環境を壊さず清潔に保てます。

月経カップ&ビデ

膣内で経血を受け止める医療機器である「月経カップ」も注目を集めるフェムテック商品の一つです。膣内に入れて使用し、経血が外に出てくるのを阻止します。経血が空気に触れないため、においを心配する必要はありません。紙ナプキンによるかぶれに悩んでいる方は、かぶれの解消も期待できるでしょう。

また、膣内に溜まった生理の残血を洗い流せる、使い切りビデもあります。ビデで膣内を洗浄することにより、生理の終わりかけの膣内の残血を綺麗に取り除き、不快感を解消できます。

生理周期を管理するフェムテックアプリ

フェムテックには商品だけでなく、生理と上手に付き合うことを目的としたアプリも多数あります。生理周期を把握できる月経管理アプリをはじめ、体調管理アプリに生理日や排卵日を予測できる機能が付いているもの、生理日前にプッシュ通知で知らせてくれるものなど、さまざまなアプリが登場しています。また、付帯サービスとして専門知識を持つスタッフに生理の悩みをチャットで相談できるアプリもあります。直接誰かに話しにくい内容でも気軽に相談できるため、頼れる存在となるでしょう。

まとめ

フェムテックが注目されるようになった背景には、女性特有の健康問題が以前に比べてオープンになったことやテクノロジーの発展、女性の社会進出などが関係しています。フェムテックの中でも生理に関する商品やサービスは多く、新しい生理グッズを試すことは、自分の身体と向き合ったり選択肢を広げたりするメリットがあります。

女性特有の健康問題は、男性経営者には理解しがたく、女性側も相談しにくいことが多いです。企業側は女性特有の健康問題を経営課題の一つとして捉えることが重要です。女性が働きやすい環境を整えるために、健康経営®の一環として、フェムテックを積極的に取り入れてみましょう。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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