ストレスマネジメントとは? ストレス管理の方法と企業が取り組むメリット
- 2022.11.16
- 健康維持・増進
- ウェルネスの空 編集部
ストレスマネジメントは、社員の健康を守りながら、企業に多くのメリットを生み出す取り組みです。
この記事では、ストレスマネジメントがもたらすメリットの具体例や実施方法について解説します。
社員のストレスケアに課題を感じている企業担当者の方は、ぜひご参考にしてください。
ストレスマネジメントとは
ストレスマネジメントとは、ストレスと適切に付き合っていく方法を考え、的確な対処法を実践することです。
ストレスを感じ続けると、重大な精神疾患につながる恐れもあります。
そういった状態を防ぎ、社員の健康状態を守るために、現代ビジネスにおいて重要視されている取り組みです。
ストレスそのものを否定するのではなく、日々感じるストレスの存在に気付き、適切な対処を行うことが求められます。
ストレスマネジメントは、企業側からの働きかけのみではなく社員自身も学ばないと成果を出しにくい性質があるため、全社的に取り組むことが大切です。
そもそもストレスとは
ストレスとは、外部から与えられる要因によって感じる、体内の反応のことです。
精神的な負担を覚えることで、心身ともに影響が出ます。適切なストレスマネジメントを行うには、ストレスとはどのようなものなのかを明確に理解することが重要です。
ストレスを心身に与える原因のことを、ストレッサーと呼びます。
ストレッサーは、以下の種類に分類可能です。
- 物理的ストレッサー…騒音や部屋の室温など
- 心理的・社会的ストレッサー…人間関係やライフスタイルの変化など
- 環境的ストレッサー…ウイルス、ほこり、細菌、化学物質、たばこなど
反応しやすいストレッサーが発生すると、心身や行動にストレスを感じてしまいやすくなります。
また、どの種類のストレッサーによってストレスを感じるかどうかは、人によって大きく異なる点にも注意が必要です。
ストレスの感じ方には個人差があることを、よく理解しなければなりません。
ストレスというと、社内の人間関係や家庭環境などをはじめとした、心理的ストレッサーのことを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、先述したように、それ以外にもストレスの原因は多く存在します。
固定観念を捨てて、「社員はどの種類のストレスを強く感じているのか」「部下のストレスの原因は別にあるかもしれない」と、複数の原因を想定して特定していくことが、ストレスマネジメントには求められます。
社員のストレスマネジメントを行うメリット
社員のストレスマネジメントを行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
明確な目的を確認した上で実施すると、効果も出やすくなります。
職場環境の改善・モチベーションの向上
的確なストレスマネジメントを行うと、職場環境が改善され、社員のモチベーションが向上します。
社員がストレスによる影響を受けにくくなり、健康的な状態で業務が進められるからです。
自分のストレスを解消するために、ほかの社員に対してつらくあたる社員も減り、人間関係が良好になることも理由のひとつになります。
どれだけ優秀な人材でも、ストレスが高い職場環境では仕事の能率が落ちてしまいます。
無駄なストレスを感じずに仕事ができるようになると、同じ業務時間でも、生産性が向上します。
生産性の向上は業績に良い影響を与えるため、全社的な企業価値の向上にもつながります。
精神疾患による休職や退職の予防
精神疾患を防ぎ、休職や退職を予防できることも、ストレスマネジメントを行うメリットのひとつです。
現在、多くの社会人が精神疾患に悩まされています。
日々感じる小さなストレスを放置していると、結果的にうつ病や自律神経失調症を発症する危険性があります。
精神疾患を治療するには、一定の期間が必要です。
多数の社員が休職してしまうと、その期間中人員が不足してしまいます。
なかなか治癒が進まず、最終的に退職してしまうと、また新しい人材を獲得するために別途コストがかかるでしょう。
企業が社員のメンタルを保護することが、人材の安定的確保にもつながります。
ストレスマネジメントの方法
効果的なケアを行うには、セルフケアやラインによるケアなど、複数のケアを実施することが求められます。
まずは取り組みやすい方法からスタートさせて、社員が慣れてきたら、複数の方法を組みあわせてみると良いでしょう。
定期的なストレスチェック
定期的なストレスチェックは、50人以上の従業員がいる企業で義務化されている方法です。
年に1回はすべての労働者に対して、ストレスの検査を行わなければなりません。
なお、従業員数が50人未満の企業は、努力義務となります。参考として、厚生労働省による省令などをご確認ください。
厚生労働省「改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針を公表します」
ストレスチェックの具体的な内容にはさまざまなものがありますが、調査票を使って点数評価を行う方法が主流です。
特にストレスを強く感じていると判断された労働者を「高ストレス者」として選定し、医師による指導を受けさせます。
年に一度のストレスチェックは、社員の現状把握や職場改善につながるでしょう。
職場改善を実施する際は、部署ごとの集団分析結果を参考にすると、より改善しやすくなります。
社員自身のセルフケア
社員が自分自身でストレスのセルフケアができるようになると、企業側の負担も省けます。
ストレスケアの概要や重要性について学ぶ機会をつくり、実際の対処法もそこで伝えていきましょう。
代表的なセルフケアは、セルフモニタリングやストレスコーピングが挙げられます。
それぞれの対処法は以下の通りです。
- セルフモニタリング…ストレスを感じた場面や原因について紙に書き出して、自分の傾向を把握する方法です。
- ストレスコーピング…ストレスを解消する方法を書き出せる限り列挙して、リストにまとめます。
ストレスを感じたら、リストのなかから実施できそうなものを取り組み、ストレスを解消もしくは軽減します。
管理職によるラインケア
管理職をはじめとしたライン上の上司が、部下の様子をよく観察し、ストレス状態をチェックしてケアすることをラインケアといいます。改善のための指示という形もとれるため、適切に行うと大きな効果が得られます。
そのためには、日常的にコミュニケーションをとれるような信頼関係を構築し、気軽に相談しやすい環境を用意しておくことが求められます。
ただし、管理職への負担を増大させすぎると、逆に管理職側がストレスを感じすぎて、心身に問題を抱えることもあります。
特定の関係に任せるのではなく、全社員で支え合う関係性をつくっていくことが理想的です。
専門家によるサポート体制の整備
適切なストレス対策を行うためには、専門家による適切なサポートを受けることが大きな効果を発揮する場合もあります。
特に、高ストレス者の指導を行う場合は、産業医、保健師、カウンセラーなどの専門家が適切な対応を行わなければなりません。
年に1回のストレスチェックだけでなく、いつでも相談したいときに悩みを打ち明けられる専門家が在籍していると、社員も安心して働けます。なお、この専門家の種類は、社内・社外を問いません。
社内に専門家を配置しない場合は、部外からサポートを受けられる体制を事前に構築しておくと、いざというときにサポートを受けられるため安心できます。
まとめ
現代社会は高ストレス社会ともいわれており、現代の企業は社員に対する適切なストレスマネジメントが求められています。大切なことは、社員が感じてしまったストレスを察知し、適切な方法で対処することです。
ストレスマネジメントを適切に行うと、企業には多くのメリットが得られます。
職場環境が改善し、社員のモチベーションが向上し、精神疾患による休職などを防ぎます。これらの効果によって、生産性や業績に良い影響を与えます。
メリットを享受し、企業価値を向上させるためには、社員一人ひとりのストレスマネジメントを的確に行わなければなりません。自社のストレスマネジメントに課題を感じている企業担当者の方は、各種ケアや部内外のサポート体制の確立にぜひ取り組んでください。
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