デジタルヘルスの現状と国内で取り組む企業事例を紹介!
- 2022.04.27
- 診断・治療
- ウェルネスの空 編集部
国民の健康寿命を延ばす画期的なソリューションとして、「デジタルヘルス」が注目されています。従業員の健康管理に、デジタルヘルスを活用したいとお考えの企業も多いのではないでしょうか。
昨今では多くのヘルステック企業が、さまざまなデジタルヘルスサービスを提供しています。デジタルヘルスを導入する際は、こうしたサービスや現状について把握することが大切です。
そこで本記事では、デジタルヘルスの基礎知識や現状、国内企業の事例をご紹介します。
デジタルヘルスとは?
デジタルヘルスとは、ヘルスケア分野にデジタル技術を活用することです。デジタル技術によって健康の維持・増進を実現し、国民の健康寿命を伸ばすことを目的としています。それだけでなく、後述する社会課題の解決にもつながります。
デジタルヘルスのソリューションは多様化しており、医療や介護の現場はもちろん、個人のヘルスケアでも活用されるようになりました。「人生100年時代」という言葉も現実味を帯びてきた、昨今の日本では、国民の寿命は延びる一方で、後期高齢者として健康に暮らすことが難しいという現実があります。
デジタルヘルスは、国民の人生を向上させるための大きな鍵となるでしょう。
デジタルヘルスが注目を集める理由
デジタルヘルスの注目度は昨今高まっています。デジタルヘルスが注目を集める大きな理由は、主に二つです。
注目を集める理由の一つ目は、医療費・介護費の増大です。2007年に「超高齢社会」を迎えた日本では後期高齢者が増加し続けています。後期高齢者の増加にともない医療費・介護費も増大しています。さらに、今後は労働人口の減少も深刻化すると見られており、現役で働いている世代の負担はより大きくなるでしょう。デジタルヘルスは、こうした状況を打破する有力なソリューションとして注目されています。
注目を集める二つ目の理由は、デジタル技術の進歩です。デジタル技術の進歩はめざましく、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった高度な技術が次々と生まれています。こうしたデジタル技術を活用できるプラットフォームも増えており、医療・介護におけるさまざまな問題の解決が容易となっているのです。デジタル技術によってサービス品質の向上はもちろん、アクセス性の向上やコスト削減も期待できます。
たとえば、ICT(情報通信技術)を活用することで、オンラインでの診療や介護相談が可能です。在宅で受けられるサービスが増えれば、移動を余儀なくされていた患者や要介護者、家族といった介護者の負担軽減につながります。
デジタルヘルスの現状
2020年以降に世界で拡大している新型コロナウイルス感染症の影響もあり、デジタルヘルスの導入は進むと見られていました。しかし、海外と比べて日本はデジタルヘルスの導入が遅れているのが現状です。
特に、後述する「オンライン診療」や「電子健康記録」の導入が少なく、ヘルスケア分野のデジタル化は遅れているといえます。医療費・介護費の増大といった日本社会の問題を解決するためにも、今後はさらなるデジタルヘルスの推進が求められます。
デジタルヘルスの最新トレンド
デジタルヘルスのソリューションを提供するヘルステック企業は、日々新しいサービスを開発しています。企業がデジタルヘルスの導入を検討するうえで、トレンドを把握することは大切です。昨今のデジタルヘルス市場では、主に次の三つがトレンドとなっています。
トレンドの一つ目は、オンライン診療です。先ほども触れたオンライン診療は、ネットワークを介して診療が受けられる仕組みです。診療の予約から処方薬の受け取り手続きまでをパソコンやスマートフォンで完結できるため、患者の大幅な負担軽減につながります。海外に比べて導入が遅れてはいるものの、日本でも導入する医療機関が徐々に増えています。
トレンドの二つ目は、電子健康記録(EHR:Electronic Health Record)です。電子健康記録とは、患者の健康に関するデータをオンラインで共有できる仕組みです。いわゆる電子カルテ(EMR:Electronic Medical Record)は、アクセスのしにくさがネックでした。その点電子健康記録であれば、異なる医療機関で健康データを共有できるため、セカンドオピニオンなどがスムーズになります。また、患者自身も十分な健康データを取得することが可能です。
トレンドの三つ目は、ウェアラブルデバイスの普及です。「ウェアラブルデバイス」とは、身体に装着して利用できるデジタル機器のことです。血圧などの健康状態を測定する機能を持つウェアラブルデバイスは、個人でのヘルスケアに役立ちます。昨今ポピュラーとなっているのは、腕時計型の「スマートウォッチ」です。
デジタルヘルスに取り組む企業事例
デジタルヘルスに取り組む企業は増えています。最後に、3社の企業におけるデジタルヘルスの事例をご紹介します。
富士通株式会社
パソコンなどの電子機器メーカーとして知られている富士通株式会社は、情報システムの開発・販売も行っています。2019年には、企業や自治体向けにデジタルヘルスサービス「健康医療情報管理基盤(Healthcare Personal service Platform)」の提供を開始しました。
このサービスは、個人の健康データをクラウド上に集約し、活用できるプラットフォームです。セキュリティ性が高いため、安心して健康データを管理できます。また、個人の同意にもとづいた健康データへのアクセスコントロールなどの機能もあり、企業や自治体のデジタルヘルス導入を容易にしてくれます。
Ubie(ユビー)株式会社
ヘルステック事業を展開するUbie株式会社は、AI搭載のWeb問診システム「ユビーAI問診」を提供しています。AIが患者への質問を自動で生成するだけでなく、患者の入力内容を医師の言葉に翻訳してくれます。
問診の結果は電子カルテに自動で登録されるため、医師のカルテ記入の負担を大幅に減らすことが可能です。また、スマートフォンなどを使えば自宅でも問診が可能なため、患者の待ち時間削減にもつながります。医師にとっても、患者にとってもメリットの大きいデジタルヘルスサービスです。
ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
新型コロナウイルス感染症が日本で拡大したことで、PCR検査を効率的に実施する体制の構築が急務となりました。そこで活躍したのが、ヘルスケアテクノロジーズ株式会社が提供する健康医療相談アプリ「HELPO」です。
HELPOを使うことで、ささいな体調不良や身体に関する不安を、いつでも医療専門チームにオンラインで相談できます。福岡市では、医療・介護の従事者を対象にHELPOを利用したPCR検査体制を構築しました。その結果、PCR検査の手続きを大幅に効率化できため、医療・介護の従事者をはじめ、保健所の負担軽減にも成功しました。
まとめ
今回はデジタルヘルスの基礎知識や現状、国内企業の事例についてお伝えしました。デジタルヘルスとは、ヘルスケア分野にデジタル技術を活用することです。デジタルヘルスの導入によって健康の維持・増進を実現できるため、医療費・介護費の増大といった課題の解決につながります。
デジタルヘルスは注目度が高まっているものの、現状の日本ではあまり浸透していません。デジタルヘルスを導入するためには、最新トレンドや企業の事例を把握することも大切です。今回の内容を参考にして、ぜひデジタルヘルスの導入をご検討ください。
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