ウェルネスな生活に向けたスポーツクラブ活用法 地域や企業での取り組みとは
- 2022.05.10
- 健康維持・増進
- ウェルネスの空 編集部
人生100年時代とも言われる日本では「ウェルネス」に焦点を当てた、より良い生き方を模索するトレンドが見られます。スポーツクラブを活用することは、ウェルネスライフを実現する有効な手段のひとつです。本記事ではウェルネスの定義とスポーツクラブの役割、および企業や地域におけるスポーツクラブ活用法を解説します。
ウェルネスな健康状態とは
ウェルネスとは、より良く生きる目的でさまざまな健康維持活動に取り組み、前向きに暮らす生活態度全般のことを指し、1961年にアメリカのハルバート・ダン博士によって初めて提唱された価値観です。博士はウェルネスについて「輝くように生き生きしている状態」と表現しました。
単に「病気でない」ことのみでは、「ウェルネスな健康状態」とは言えません。ウェルネスな健康状態になるためには、感情や社会に対する貢献度・生活環境などさまざまな指標において、理想を満たす取り組みが必要です。
1977年には全米ウェルネス協会が設立されて、ウェルネスの概念が広く認知されるようになりました。たとえば、飲料や食品業界では「心身ともに健康で満たされた状態へ導く商品」という意味を込めて、ウェルネスの価値観が使われている商品が生まれています。
ウェルネスライフはスポーツで実現
近年では日本においてもさまざまな場面において、ウェルネスの価値観が重要視されるようになりつつあります。たとえば、スポーツ庁は、スポーツを実施することでウェルネスライフを実現する取り組みを推進しています。以下は、スポーツ庁が主張するスポーツの代表的なメリットです。
- ガン、糖尿病などを防止できる
- 生活充実度が向上する
- 抑うつ状態の発生を抑制できる
- 心を落ち着かせて、強い精神力のもとになる
健康づくりを促進するスポーツクラブの役割
生活習慣病を予防して心身ともに健康な状態を実現するためには、継続的な運動習慣を付けることが必要です。スポーツクラブに通うと安全かつ適切な方法で、運動する習慣を付けられます。
また、スポーツクラブは地域の高齢者に世代間交流や脳を活性化する機会を与えてくれる存在です。一部のスポーツクラブは高齢者のために以下の教室やプログラムを実施して、認知症・介護予防を応援します。
- 使用頻度の少ない筋肉や関節を動かし、膝や腰の痛みを軽減する教室
- 手指体操や脳トレで脳の活性化を図り、認知症を予防するプログラム
- 音楽に合わせて楽しく全身を動かし、健康増進を図るプログラム
近年ではスポーツ庁によって、子供から高齢者まで参加できる「総合型地域スポーツクラブ」の育成をサポートする取り組みも進められています。スポーツ庁の取り組みがより浸透すれば、身の回りの施設で、継続的に運動できる体制が整うでしょう。
健康問題解決につながるスポーツクラブの活用法
スポーツクラブを上手に活用すれば、さまざまな健康問題の解決が可能です。以下では、解決につながるスポーツクラブの活用例を紹介します。
高齢化社会に向けた総合型地域スポーツクラブ
総合型地域スポーツクラブは、高齢化社会における生涯スポーツ拠点として重要視されている活動です。総合型スポーツクラブは地域の交流拠点としても機能し、高齢者の生きがいづくりに貢献します。
高齢になると体力の低下などの原因により、外出する意欲が低下しがちです。自宅に引きこもる日が多いと人間関係が希薄化し、生きがいを喪失するリスクがあります。高齢者を孤立させないためには総合型地域スポーツクラブなど気軽に参加できる居場所を作り、地域住民と交流する機会を増やす対策が有効です。
また、総合型地域スポーツクラブは、対象年齢や対象種目を限定せずに運営される特徴を持ちます。総合型地域スポーツクラブを有効に活用すれば、自分の関心のある種目を自分にとって負荷のかかりにくいレベルで、継続的に楽しむことが可能です。結果として地域の健康水準が引き上げられると、街の魅力度も増します。
社員の健康維持に向けたスポーツクラブ提携
一部の企業は健康経営®を実現するための手段としてスポーツクラブと提携し、社員に対して継続的な運動習慣を付けさせる活動を行っています。健康経営とは、「仕事のパフォーマンスを上げるためには、心身の健康が不可欠である」と考え、一定の資金を投入するものです。
健康経営は企業にとって、社員が体調を崩した際の医療費負担を軽減できるメリットがあります。企業がどれほど売上を増やしても、社員が体調を崩して医療費負担が増加すれば長期的にはマイナスです。健康経営を実現することは、企業の収益基盤を固めるための重要な手段と言えます。
スポーツクラブと提携している企業・組織の社員は福利厚生として、利用料金の一部補助を受けられます。スポーツクラブによっては簡易的な人間ドッグやインストラクターによる運動プログラムの提案を受け、心身の健康管理にも役立てられます。
※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
地域や企業でスポーツクラブを活用するメリット
スポーツクラブの活用は地域や企業に対しても、さまざまなメリットをもたらします。地域や企業でスポーツクラブを活用する主なメリットは、以下の通りです。
地域活性化や医療費軽減にアプローチできる
総合型地域スポーツクラブはスポーツ文化を地域に根付かせ、誰もがいつでも運動を楽しめる環境づくりに貢献します。スポーツ文化が根付くと地域住民の健康水準を引き上げて、医療費負担の軽減を図れます。
また、総合型地域スポーツクラブでは遊休施設を活動拠点として、地域住民のために活用できます。総合型地域スポーツクラブに幅広い世代の人が集まれば地域住民のつながりが強化され、地域活性化を促すことも可能です。
さらに一部の総合型地域スポーツクラブでは地域の特色を活かし、街に対する愛着を深めてもらうためのイベントも開催できます。総合型地域スポーツクラブのイベントでは地域住民に街の魅力を再確認させ、愛着を深めさせることによって、人口減少を防止することが可能です。
健康経営の構築につながる
企業が福利厚生の一貫としてスポーツクラブと提携することは、健康経営を実践するための良い手段です。健康経営を実践することで社員の心身を健康に維持できると、仕事に対するモチベーションが高まり、生産性が向上します。健康な社員が増えれば組織としての生産性も向上し、業務効率化を図ることが可能です。
また、健康経営は企業の業績向上につながる要素として、国が推進する投資の1つです。国としては健康経営に、国民医療費や介護保険給付の拡大を食い止めて、地域の負担を軽減する役割を期待しています。高齢化社会の進展による社会保障費の増加は現状、国や地域の財政を大きく圧迫していることが理由です。
経済産業省は健康経営を推進するための施策として、特に優良な取り組みを行っている企業を「健康経営優良法人」として認定しています。健康経営優良法人に認定されると社会的な評価が向上し、採用活動をスムーズに進められる期待も持てるでしょう。
まとめ
ウェルネスとは、心身ともに健康でより良く生きようとする生活態度のことを指します。ウェルネスな生活を実現するためにはスポーツクラブなどを有効に活用し、定期的な運動習慣を作ることが大切です。
よりよく生きるための健康を考えるポータルサイト「ウェルネスの空」では、ウェルネスに関するさまざまな情報を提供しています。ウェルネスに関するより詳しい情報を知り、従業員の健康管理に役立てたい総務担当者様は、ぜひ「ウェルネスの空」をご活用ください。
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