会社のストレスチェックにかかる費用とは? その費用の内容や助成金などを解説

会社のストレスチェックにかかる費用とは? その費用の内容や助成金などを解説

企業で実施するストレスチェックについて、「すべての費用を会社が負担しなければならないの?」という疑問を抱えている方もいるでしょう。この記事では、ストレスチェックの実施にかかる費用や、従業員が負担すべき費用、費用を抑える方法や利用できる助成金について解説します。

ストレスチェック制度について

ストレスチェックは、労働者のストレス状態を定期的に検査・評価し、結果を本人に通知することを定めた制度です。これによりストレスの自覚を促し、ストレスの程度に応じた適切な対応を図ることを目的としています。うつ病をはじめ、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐための重要な施策であり、労働者が50人以上いる事業者には年1回、労働者に対してストレスチェックを実施することが義務づけられています。
ストレスチェック検査は、質問票を用いた簡易的な検査です。厚生労働省が定めた「職業性ストレス簡易調査票」や、各事業者が独自に作成した調査票などが用いられます。ストレス反応が強いと判定された労働者から申し出があった場合、事業者はその労働者に対して医師との面談を受けさせなければなりません。
また、事業者は必要に応じて専門医療機関への紹介やストレスへの対処方法に関する相談、職場環境の改善などの対策を講じる必要があります。

ストレスチェックの費用

ストレスチェックには費用がかかります。以下で費用の負担者や金額の目安などをご紹介します。

ストレスチェックにかかる費用の金額目安

ストレスチェックにかかる費用は、実施方法や委託先、従業員数などによって大きく異なりますが、1人あたり数百円から数千円程度が相場です。結果に応じて医師の面談を行う場合は追加の費用がかかります。内訳は以下の通りです。

【ストレスチェック実施費用】

  • 紙の調査票を使用する場合
    • 厚生労働省が策定した質問票を使用する場合:無料で利用可能
    • 民間事業者が作成した質問票を使用する場合:数千円程度
  • オンラインサービスを使用する場合
    ストレスチェックをオンラインで実施する場合、月額数千円から数万円程度のシステム利用料がかかります。ただし、紙の調査票よりも、調査票の配布・回収やデータ入力の手間が省け、時間とコストを削減できる点にメリットがあります。
  • 外部業者に委託する場合
    ストレスチェックの実施を外部に委託する場合、委託費用がかかります。委託費用は、従業員数や実施方法によって異なりますが、1人あたり500円〜2,000円程度です。

【医師による面接指導費用】
1人1回あたり15〜30分で1万〜3万円程度

【集団分析費用】
ストレスチェックの結果を部署や職務などの集団ごとに分析するための費用です。ストレスの傾向を把握して職場環境を改善するために積極的な実施が推奨されています。費用相場は1組織あたり2万5,000円程度です。

事業者側で負担する費用

従業員にストレスチェックを受けさせることは、一定数以上の従業員がいる事業者にとっての義務です。ストレスチェックは福利厚生の一環であるため、費用は基本的に事業者側が負担します。ストレスチェックの実施費用だけでなく、高ストレス者の面接費用や集団分析にかかる費用なども同様です。また、面接指導の後に従業員が専門機関を受診し、心身の不調の原因が職場環境にあることが認められた場合、労災認定されて治療にかかる費用も事業者が負担しなければなりません。費用負担を理由に、医師による面接指導の実施を勧めないことは、従業員の権利侵害にあたるので注意が必要です。

労働者側で負担する費用

ストレスチェックの費用は基本的に事業者が負担するため、労働者側で負担する費用はありません。ただし、ストレスチェックの結果、専門機関の受診や治療が必要になった場合、その後の費用は従業員側の負担となります。

ストレスチェックの実施方法

ストレスチェックの実施は、医師や保健師、一定の研修を受けた看護師や精神保健福祉士が行います。社内にストレスチェックを実施できる資格のある人がいれば外部委託する必要はありませんが、すべてを自社で行えるのは一部の大企業に限られます。また、自社でストレスチェックを実施する場合、実施者を確保する手間やプライバシー保護の観点から不安に思う労働者も少なくありません。そのため、基本的にはストレスチェックの実施にかかる工程の全部もしくは一部を外部機関に委託することが想定されます。調査は、紙あるいはWebによって実施します。

ストレスチェックは費用をかけずに実施可能か

基本的にストレスチェックの実施には事業者側に一定の費用負担が生じますが、なるべく費用をかけずに実施する方法はないのでしょうか。
結論から言えば、ストレスチェックを実施するだけであれば、厚生労働省のプログラムを活用して無料で行うことは可能です。このプログラムはストレスチェックの受験から結果出力、集団分析までを事業者が円滑に実施できるようにしたもので、受験者は紙の調査票、Excel版の調査票、アプリ受験の3種類から受験方法を選べます。プログラムは以下のURLから無料でダウンロード可能です。

参照元:厚生労働省「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」

また、一定条件を満たす場合、無料で利用できる民間のストレスチェックサービスも存在します。
ただし、ストレスチェックの結果をもとに、企業としてどのような対策を講じるべきかなどの提案を医師などから求めるには費用がかかることがあります。

ストレスチェックの費用を抑えるには

厚生労働省の無料プログラムを利用する方法以外で、ストレスチェックの費用を抑えるには、助成金の利用、あるいは自社の規模やニーズに沿った外部サービスを選ぶ方法が有効です。

助成金を利用する

企業は、ストレスチェックの実施にあたって「団体経由産業保健活動助成金」を利用できます。この制度は厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として、独立行政法人労働者健康安全機構が実施しているものです。令和3年度までの旧助成金・産業保健関係助成金の後継制度として、より多くの事業場への支援を可能にし、個々の事業者が支給申請する事務的・経済的な負担を軽減するために、令和5年10月に制度が見直されました。
支給対象は商工会などの事業主団体や労災保険の特別加入団体です。産業医や産業保健サービスの提供事業者と契約し、ストレスチェック後の職場環境改善などの産業保健サービスを実施する場合、活動費の9割(上限500万円、都道府県の事業主団体は上限1,000万円)が助成されます。なお、ストレスチェックの実施にかかる費用は助成対象外である点に注意しましょう。
助成対象となる事業内容や支給要件などの詳細は、以下の資料を参照してください。

参照元:独立行政法人労働者健康安全機構「団体経由産業保健活動推進助成金とは」

適切なサービスを選ぶ

ストレスチェックの実施を外部機関に委託にするのであれば、委託する業務範囲を決め、費用対効果を考えてサービスを選定することが大切です。ストレスチェックサービスのタイプやプランはさまざまです。たとえば、ストレスチェックの実施準備から面接指導の勧奨までをワンストップで代行してくれるサービスがあります。ほかには、高ストレス者へのオンライン面談が可能なサービスや、集団分析に関するコンサルティング、職場環境の改善に必要な対策についてのコンサルティングなどのオプションを用意しているサービスもあります。

従業員数などに応じて適切な条件のサービスを選択し、自社が求める対応や工程がサービスに含まれているか、個人情報の保護に配慮したストレスチェックが実施できるかどうかも確認するようにしてください。

まとめ

ストレスチェックの実施は、従業員の健康管理のために必要な企業の責務です。したがって実施費用は基本的に事業者が負担します。厚労省の無料プログラムなどを活用して費用を抑えることはできますが、医師面談の設定や受診結果の集団分析などでは一定の費用や事務管理の手間が生じます。従業員の健康管理業務をできるだけ低コストで運用するには、民間企業の産業保健支援ソリューションを活用するのもひとつの方法です。興味のある方は以下のURLから資料をご覧ください。

関連資料:ベルシステム24が提供する産業保健支援ソリューション

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