企業に求められるメンタルヘルス対策| 具体的な方法や取り組みのメリット
- 2024.02.22
- 予知・予防
- ウェルネスの空 編集部
企業が持続可能な成長を遂げるためには、従業員のメンタルヘルスケアが不可欠です。本記事では、メンタルヘルス及びメンタルヘルスケアの概要を解説するとともに、企業における具体的なメンタルヘルス対策や役立つソリューションを紹介します。
メンタルヘルスとは?
メンタルヘルスとは、文字通り「心の健康」のことです。心身のストレスによってメンタルヘルスが悪化すると、うつ症状、パニック障害、依存症、不安症、適応障害、睡眠障害などの精神疾患につながり、仕事や日常生活に支障をきたすこともあります。
そこまで深刻な状態にならずとも、メンタルヘルスに不安がある状態では、仕事に十分な集中力や注意力、モチベーションを向けることは難しく、生産性に悪影響が出ることは避けられません。そのため、昨今では従業員のメンタルヘルスケアに取り組むことは企業の大きな課題のひとつとして認識されています。
メンタルヘルスについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:メンタルヘルスとは 職場においての重要性とケア方法について解説
厚生労働省が推奨する「四つのメンタルヘルスケア」
厚生労働省は、「職場における心の健康づくり」という資料で、企業が取り組むべき従業員のメンタルヘルスケアの指針を示しています。そこで鍵となるのが、以下で紹介する「四つのメンタルヘルスケア」です。
参照元:厚生労働省「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」(p.7)
1. セルフケア
第一のケアは「セルフケア」です。セルフケアとは、従業員自身が自分のメンタルヘルスを管理することを指します。ただし、これは事業者側が何も支援しないことを意味するのではありません。事業者は、教育研修や情報提供を通じて、従業員がメンタルヘルスについて深く理解し、不調を感じた場合は自分自身で適切なケアができるように支援を行うべきだとされています。
2. ラインによるケア
「ラインによるケア」は、主に職場の管理監督者が従業員へ行うメンタルヘルスケアです。管理者は職場環境や従業員のメンタルヘルスが適正な状態にあるか日頃から気にかけ、異常にいち早く気づけるよう努めなければなりません。従業員から相談があった場合には真摯に向かい合い、ときには産業医やその他の医師へ橋渡しをする必要があります。メンタルヘルスの不調で休職などをした従業員に対しては、円滑な職場復帰ができるように支援を行うことも重要です。
3.事業場内産業保健スタッフ等によるケア
第三のケアは、産業医や保健師などによるメンタルヘルスケアです。これらの専門スタッフの仕事には、メンタルヘルスケアに関する企画立案や、社外の医療リソースへの橋渡し、職場復帰支援などが含まれます。セルフケアやラインケアが機能するように、従業員や管理者の支援をするのも重要な役割です。
4.事業場外資源によるケア
最後のケアは、外部の専門家や医療機関・相談機関によるケアです。事業者は、メンタルヘルスケアに関して専門的な知識を有する外部資源の支援を活用し、従業員に適切な支援を届ける必要があります。これには、メンタルヘルスに関する助言や情報提供、外部サービスへの仲介などが含まれます。特に、従業員が社内での相談を望まない場合や、より専門的な支援が必要な場合には、こうした事業場外資源の活用が重要です。
企業がメンタルヘルスケアに取り組むメリット
企業がメンタルヘルスケアへ積極的に取り組むことは、単に従業員の健康を守るだけではなく、組織全体のメリットにつながります。
まず、従業員のメンタルヘルスを良好に保つことは、生産性の向上をもたらします。心身ともに健康な従業員は、仕事に対する集中力が高く、創造力や問題解決能力を発揮しやすいからです。仕事への集中力は、ミスや事故を減らす上でも欠かせません。
さらに、従業員が良好な精神状態を維持して働ける環境を構築することは、従業員の健康増進やエンゲージメントの向上につながり、結果として休職率や離職率の低下をもたらします。従業員の健康に配慮する企業という評価を対外的にも得られれば、ブランド価値の向上や採用力の強化も期待できます。
企業が取り組みたいメンタルヘルスケアの具体例
メンタルヘルスケアにおいて、企業による主体的な取り組みが望ましいこととして、外部講師によるメンタルヘルスケア研修や事業所で行うストレスチェックの実施、相談窓口の設置が挙げられます。
外部講師によるメンタルヘルスケアの研修を行う
セルフケアやラインによるケアを適切に行うには、従業員や管理職がメンタルヘルスに関する正しい知識を身につけることが重要です。そのためには、外部講師を招いてメンタルヘルスケア研修を行うのが良い機会になります。
研修を通じて、メンタルヘルスの基本的な知識、ストレスの原因と対処法などを学ぶことが可能です。特に管理職にとっては、部下の変調を早期発見するコツや相談の乗り方、普段からの適切なコミュニケーション方法など、マネジメントスキルとしても学ぶべき知識が多々得られます。
ストレスチェックを実施する
メンタルヘルスケアの一環として、ストレスチェックの実施は非常に重要です。一定以上の規模を持つ事業所では、ストレスチェックの実施が法律によって義務付けられています。しかし、それ以下の規模の事業所でも、従業員の心の健康を守るためにストレスチェックを行うことが望ましいです。
ストレスチェックは、従業員が抱えているストレスの度合いを評価し、必要に応じて早期に介入することを可能にします。これにより、メンタルヘルスの不調を未然に防げるだけでなく、問題が深刻化する前に適切な対策を講じられます。
ストレスチェックに関して詳細を知りたい方は下記の記事もご覧ください。
関連記事:ストレスチェック制度とは? 概要や義務となる事業者、実施の流れなどを解説
相談窓口を設置して周知する
従業員がメンタルヘルスに関する悩みを気軽に相談できるよう、窓口を設置することも重要です。こうした相談窓口の設置は、改正労働施策総合推進法によって義務化されています。
相談窓口の設置に当たっては、従業員が実際に利用しやすいように、その存在や利用方法を積極的に周知することが重要です。また、必要に応じて社外の専門機関やカウンセリングサービスなどを活用することも検討の価値があります。
メンタルヘルスケアに役立つ産業保健支援ソリューション
現代の企業において、従業員のメンタルヘルスケアは非常に重要な課題です。この課題に対処するため、多くの企業が産業保健支援ソリューションを活用しています。このソリューションは、従業員の健康管理業務を効率化し、法令対応や健康経営®の推進をサポートします。
産業保健支援ソリューションの主な機能は、社員マスター、健診結果、残業時間などのデータを一元管理し、これらの情報を基に健康管理業務を低コストで高品質に運用することです。これにより、企業は従業員の健康状態を可視化し、必要な介入を迅速かつ適切に行えます。
また、このソリューションは健康管理における法令対応をサポートし、企業が健康経営を推進する上での負担を軽減します。専門チームによる伴走支援を通じて、健康管理クラウドを活用することで、従業員の健康状態をより明確に把握し、健康リスクの早期発見や予防策の実施が容易になります。
このように、産業保健支援ソリューションは従業員の健康管理をシステム化し、企業の健康経営を強化するための重要なツールです。活用することで従業員の健康が保たれ、結果として企業の生産性向上にも寄与すると期待できます。
※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
関連記事:ベルシステム24が提供する産業保健支援ソリューション|ウェルネスの空 - よりよく生きるための健康を考えるポータルサイト
まとめ
メンタルヘルスケアの実施は、従業員の心身の健康を守るためだけでなく、自社の生産性や組織力向上のためにも重要です。メンタルヘルスケアの方法は主に四つありますが、どの方法においても企業は直接的または間接的に従業員へ支援することが求められます。もしも自社独自でのメンタルヘルスケア実施に不安がある場合は、産業保健支援ソリューションの導入をご検討ください。
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